成田理俊『鉄』〜東京組

群馬県北部。街から少しはなれた山の途中の畑の間に、鉄作家、成田理俊さんの工房はあります。そのトタン屋根の小屋の中は、まさに小さな製造工場。鉄を炙るための炉、軟らかくなった鉄を叩く機械、美しく仕上げるためのたくさんの工具…、入り口には材料となる鋼材が何本も立てかけられ、そこここに、途中段階の作品がいくつも置かれています。昔ながらの鍛冶屋のように、成田さんは日々この工房で、鋼材を熱してはハンマーで叩くという作業を繰り返し、作品を作り続けています。
昨年、工房をお訪ねしたとき、成田さんは小さなS字フックを作って見せてくれました。固くて頑丈な「鉄」をいう素材を、熱しては叩いて…と何度も繰り返し、時間をかけて仕上げて行きます。できあがった作品は、少し細長い「S」の文字で、その芯の太さおよそ直径2mmほど。繊細で美しく、それでいて力強いフック。
そうです。成田さんの作品は、「鉄」のイメージを覆すようなものばかり。細くて、薄くて、繊細で力強く、丈夫。その固さと丈夫さゆえに、門扉や柱など、外で使うもののイメージが多い「鉄」ですが、成田さんはテーブルの上やリビングの片隅で、日々使う物を「鉄」から作り出しています。箸置き、茶さじ、豆皿、花挿し、フック…。それらは手のひらでもあまるほどの小ささで、すらりとシャープ。形状もどこかユニークです。もちろん、小さなものばかりでなく、脚は「鉄」座面は「木」でデザインされたスツールは軽やかで、同じく「鉄」と「木」でつくられたテーブルは安定感があり、薪ストーブは余分な飾りがそぎ落とされ、極シンプルでかっこいい。そのひとつひとつの作品からは、成田さんの「これまでの鉄の作品になかったものを」という心意気が伝わってきます。

北海道への旅を、とても楽しみにしている成田さん。小さな作品をかばんにぎゅっと詰め込んで、もうすぐみなさんの元へと旅立ちます。どうぞ、実際に手に取って、暮らしに馴染む鉄のカタチをご覧ください。
*成田理俊さんに聞きました。
Q1.旅するもみじ市ではどんな作品を作る予定ですか?
定番のフックや箸置きなど、鉄の小物。小さなフライパンも持って行きます。
Q2.旅するもみじ市で最も楽しみなことは?
北海道への旅。遠くへ旅に出ての出店はとても楽しそうです。
Q3.お客様に一言。
自分の作品を、多くの人に見ていただけたらと思います。


