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2009年08月

| cholon 札幌 : これまでのGallery |


「ごはんのうつわ展2009」を開きました



P1110745.JPG.jpeg2009年8月1日から9日まで、本店2Fスペースで器の展覧会「ごはんのうつわ展2009」を開きました。鎌倉にあるギャラリー「うつわ祥見」が選んだ、全国11人の作家の手による、めし碗や皿、鉢、急須、湯のみなど、食卓に並ぶ日々の器がたくさん並びました。たくさんの方にご来場いただき、手に取ってご覧いただきました。

P1110762.JPG.jpeg初日夜には、「うつわ祥見」主宰の祥見知生(しょうけん・ともお)さんを囲んでお話しする会「日々を愛する器」も行いました。みなさんで器を手に包み込み、その感触を確かめながら、楽しくおしゃべりしました。

お話会に祥見さんは自宅で使っている器を数点持参。時間を経たそれらの器は、展示されている新しい器に比べて、粉引きのものも、南蛮焼締のものも、手触りや重さ、質感が大きく変化していました。参加者全員に祥見さんの器を回して、新しい器とともに実際に感触を確認していただいたところ、その変わりぶりに驚きの声が上がるほど。

P1110731.JPG.jpeg祥見さんは「器は作家が作り上げて完成ではなく、使い続けることで、どんどん自分のものに変化していきます。貴い時間を経ることで美しくなっていくんです」とおっしゃいます。祥見さんの持参された器はところどころ欠けていたり、傷が付いていたりしましたが、その手触りは何とも心地良く、でこぼこの形も確かに美しく感じられました。祥見さんは「欠けたり、割れたりしても、あきらめずに、その器と付き合っていくこと。変化を楽しんでほしい」とも。

P1110734.JPG.jpegまた、お話会では今回出展している作家についても詳しく紹介いただきました。共通しているのは、どの作家もとても真摯に土と向き合っているということ。何だか当たり前のように聞こえますが、仕事でたくさんの器を見ている祥見さんは「正直いえば心に何も響いてこない器を作っている作家が圧倒的に多い。そんな中、今回出展いただいた方々は制作の姿勢、作品への向き合い方がまったく違う」と、作家たちの「本気」についてさまざまなエピソードを交えて語っていただきました。そして「今回出展している作家たちを見続けていてほしい。そうすることが、作家を育て、そしてその作品を育てていくことになるのですから」とおっしゃっていました。

P1110735.JPG.jpeg会期中には2度、3度と足を運んでくださったお客様もいらっしゃいました。また以前に札幌で開かれた、うつわ祥見さんの展示にいらして、その時に購入した器を大切に使っているという方も大勢いらっしゃいました。みなさん本当にありがとうございました。また、いつか祥見さんと一緒に、たくさんの器をみなさんに見ていただく機会をつくりたいと思います。

今回、たくさんの器を運んでいただいた祥見知生さんに展覧会の前にうかがったお話を以下に掲載しています。今回の展示会への期待、そして器とその作り手のみなさんに対する強い愛情が伝わってきます。さらに「ごはん」への大きな思いも。ゆっくりと、祥見さんの言葉を味わってください。

*うつわ祥見 祥見知生さんに聞きました。
 ーー今回の札幌での展示会「ごはんのうつわ展2009」に持ってきていただく器について教えてください。
shokentomoo.jpg 「ごはんのうつわ展」は、最初は鎌倉のうつわ祥見と、同じ鎌倉のごはんの店イチカワヨウスケ君の「なると屋+典座」とでスタートしました。そして昨年2008年には福岡・高知・明石・輪島・東京の5つのギャラリーでも行いました。昨年5会場で開催したのは、一つのテーマを一つのギャラリーが行うよりも深く、広く、たくさんの皆さんに伝えられるのではないか、という思いから。2年かけて作家さん、ギャラリーさんにお話をして開催をしたのです。
 テーマは「ごはんをもう一度感じる」ということなんですね。ですから、必然的に、日々のごはんに欠かせない器たちの登場となります。点数はまだ未定ですが、800点〜1000点くらいにはなると思います。具体的には、めし碗、皿、鉢、小皿、そして、ごはんの後に欠かせないお茶の道具、お急須やお湯のみ、といった器たちになります。作家さんも、こう言ってはなんですが、豪華です(笑)。
 わたしが伝えたいと思う器って「なんでもないもの」がテーマでもあるのです。そういう日々使われる器=食べる道具としての「器」にこだわって、小野哲平さん、村木雄児さん、石田誠さんなど、器好きの皆さんもよく知っていらっしゃる作り手の方の器を中心に、10名以上の作家の器と一緒に札幌へ参ります。

 ーー今回の展示会の「テーマ」を一言でいうと、どういう言葉になるのでしょうか。
 さっきも触れましたが、「ごはんをもう一度感じる」ということですね。何気なく食べているごはん、ごはんが自分の身体とこころを「つくっているんだよ」ということを、もう一回ちゃんと感じて、だからこそ、それをいただく器も、ちゃんと見てほしい、選んでほしいって伝えたいですね。
 器って、本当にいろいろな器があるんですけれど、わたしはやっぱり「手」が気持ちがいいと感じられるものが「いい器」なんじゃないかと最近思うんです。それは見せかけの「かっこよさ」ではなくて、土とか、火とか、すごく根っこの部分で、わたしたちの身体・手が無理をしないで「ああ、いいなぁ」とか「ほっとするなぁ」とか素直に感じられるもの。それが結局「いい器」なんじゃないか、ということですね。
 いまは食文化も成熟して、日本にいながらにして世界中の食べ物が食べられるし、季節も関係なく、年中「美味しいもの」が手に入りますが、それってどうなのかなぁ…と、ぼんやりと思うんですね。わたしたち人間も季節によって体が少しずつ変化しているわけで、旬の食べ物をいただくっていうのは、本当に理にかなっていますよね。そういう「旬」の食べ物を食べることに気をつけていると、自然とそれを盛る器も素朴だけど力がある器になっていくんじゃないのかな、と感じます。
 だから、「ごはん」がテーマというのは、単に使いやすい器というのも大切だろうけれど、もっと野生児のよう気持ちで「これ使ったらごはんが美味しいだろうなぁ」なんて、想像しながら一つひとつの器を見てほしいですね。

 ーーご自身のギャラリーだけでなく、全国各地で展覧会を開いていらっしゃいますが、それはなぜですか。
gohan-no-utsuwa-ten.jpg 展覧会って、何かを手渡したり、何かを感じてもらう「場」だと思うんです。だから、鎌倉の小さな場所から、様々な場所にお邪魔して、わたしが信じている「器」をたくさんの方に見て、何か感じてほしいなぁと、そんな思いで、各地で展覧会をさせていただいています。
 『うつわ日和。』『日々の器』など、何冊か器に関する本を書いているのですが、お問い合わせをいただいても、実際に見ていただかないと器の良さはなかなか伝わらないと思うんですね。本を読んでいただいたけれども、なかなか鎌倉までは行けないわ…という方にも、なるべく各地で展覧会を開いて、器を手にとっていただく機会を作りたいと、いつも願っています。 

 ーー今回の展示では、どんな風に器を見たらよいのでしょう。
 実際に器を手に包んでみてほしいです。人気の作家さんの器というだけで求める方は最近あまりいないけれど、でも、雑誌などに載っていたからこの人の器がほしい…ということもあることはあるんです。そうじゃなくて、自分の手でその器を包んで、時間をかけて、一つの器と「出会って」ほしいですね。
 「手」って正直なんですよ。器の世界では「手取り」という言葉がありますが、器は一つとして同じものがないので、その「手取り」も器によって違うのです。一点ものではそうはいかないけれど、めし碗や湯のみなどは、たくさんあるなかから、自分の手で包んで選ぶことをお勧めしたいです。それは、インターネットで何かを買うのとは全く違う、器を選ぶ「喜び」のようなものです。楽しいですよ。

 ーー気に入った器とはどんな風に「付き合えば」いいのでしょうか。
 日々、使うことに尽きます。よい器だから大事にしまいこむという方もいらっしゃるけれど、それこそ、もったいないことだと思うのです。使うっていうのは、「ともに暮らす」ということですね。作り手がちゃんと作った器ですから、最初だけが美しいのではなく、使われて経年の変化であらわれる「何か」が美しいのです。愛おしいのです。それはきっと、器と過ごした自分だけの時間の「深み」だと思うんです。
 村木雄児さんがよく言われるのですが、器は作り手が半分、使う人が半分…、つまり、器は使う人によって「作られる」ものだということなんですね。わたしは、それを「器は育てるもの」と、考えています。器を求めていだだく方に器をお渡しするときに「育ててくださいね」ってお伝えするのは、そんな思いがあってのことです。

 ーーご自身の地元の札幌で展示会を開くことに、何か特別な思いはありますか。
meshiwan21.jpg あります。あります。やっぱり、北海道って、わたしにとってとても大事な土地なんです。それは、言葉にするとありきたりだけれど、そこにいてくれるから離れていても頑張れる…っていうのでしょうか。家族を思う気持ちと同じですね。去年はすごく忙しくてなかなか北海道に帰れなかったので、苦しくなって、年末が押し迫った時期に2日間だけ帰郷したんです。「一年間、北海道に帰れないなんて嫌だ!」って思えて。なんかアイドルのような忙しさに聞こえますが(笑)、家庭人なもので、自由に家を開けられなくてということなんですけどね。
 …わたしのことは置いておいて、実は「うつわ祥見」は過去に4年間ずっと、夏に「うつわ祥見INさっぽろ」という展覧会を時計台そばのギャラリーで開かせていただいていたんです。その4年間、毎年のように楽しみに足を運んでくださった皆さんに、またお会いするのも本当に楽しみでなりません。「一年器を買わずに待っていました」「また来年も楽しみに」とお手紙やメールをいただいて、本当に感謝しています。昨年一昨年と札幌での器展をせずに、西日本でも開催が多くなって、「札幌展」をぜひまたやりたい!!と、思っていました。だから、今回、また8月に開けることは、とっても嬉しいのです。

 ーー最近のお仕事、これからの予定について教えてください。
 昨年は外での展覧会が続きましたので、鎌倉のうつわ祥見では毎月、作家さんの個展を真面目に入れています。それと別に秋には「器と道具展」を東京で、世界遺産に登録された石見銀山に拠点をおく会社と一緒に「日本のかたち 美しいめし碗展」の開催も予定しています。
 「いつでも器を会える」をテーマに鎌倉駅そばには、今年5月に「utsuwa-shoken onari NEAR」もオープンしました。ここは、木曜日以外はいつも開いているので、器たちと一緒にいられる時間が増えて、わたし自身が楽しくてしょうがないんです。 その運営にも力を入れています。それから、今年11月末に出版が決まった器の本『器、この名もなきもの』(里文出版)の原稿書きにかかります。音楽のコーディネートも今以上にやっていくつもりです。

 ーーお仕事以外で、最近関心のあることは何ですか。
kawakami.jpg 仕事以外…関心ですか。肩こりの解消法ですかね(笑)。えーと、わたしって、すごく右脳人間なんですね。だからすべて「イメージ」で物事を考える癖があるんです。そのイメージでいうと、来年2010年って、人がこれからどこへ向かっていくのかの、何か「きっかけ」となる年であるように「感じる」んですね。そのことに興味があります。きっと、宮沢賢治も、司馬遼太郎さんも、わかりやすい人ではジブリの宮崎駿監督も、それぞれの仕事で「そのこと」を深く考えて作品を作っているんじゃないでしょうか。人がどこへ向かうのか。わたしは「土」に向かうと思うんですよ、ちなみに。わたしも都会にあこがれて東京を目指した人間だけれど、いまは、行き過ぎた都市生活のなかに人の幸せはないんでしゃないかって、本当に思うんですね。北海道とか、わたしの最近よくお邪魔する高知、沖縄とか…それぞれの土地でそのことを思っている人が発信することに興味がありますね。

<祥見知生さんプロフィール>
うつわ祥見、祥見知生編集室主宰。        
北海道生まれ。インタビュー記事を中心に雑誌に文章を書く。2005年3月『うつわ日和。』(ラトルズ)を出版。以来、文章を書き、自然光で写した写真を撮り、言葉と写真で本を作りながら、音楽の会、器の展覧会を北海道、大阪、京都、高知、兵庫、福岡など各地でで開いている。2009年3月株式会社SHOKEN 設立。うつわ祥見のホームページはこちらです。
また祥見さんは今年3月、「ほぼ日刊イトイ新聞」の「あの人の本棚」に登場、5冊を紹介されました。こちらでご覧いただけます。